ぼくらの 1〜7巻

ぼくらの 1 (IKKI COMIX)

ぼくらの 1 (IKKI COMIX)


「ぼくらの」という漫画を7巻まで読破しました。いや、ホント怖いぐらいの世界観。設定的には、残酷さで知られる「バトルロワイヤル」を彷彿とさせるほど。というよりも、残酷。「殺らなければ殺される」とは少し違うけど、「自分が死ななければ家族含め全てを失う」という設定になっていて(実際もっと深いですが)、しかも標的になったのは全員少年少女。正直、死ぬ前に選ぶそれぞれの行動が切なすぎて、なんでこんな幼い子を舞台に上げなくちゃいなかったのかと思うこともあったり。バトルロワイヤルと同じで救いようがないからなぁ...


章は標的になる子の名前をタイトルにして進む。その子の過去や、死ぬまでの過ごし方、思考、後悔、いろんなものを絡み合わせて物語を創る。こういう表現の仕方では海外大ヒットドラマの「LOST」を思い出しました。一章ごとに人物を掘り下げて紹介する。たぶん、どこにだっているような人間でも、過去を背負い、感情を持ち、様々な葛藤を抱えながら生きているんだってことを知らせたかったんだと思う。加えて「ぼくらの」でも、自分が特別な存在というのは単なるまやかしで、一人一人に優位性などなく、要するに命の重みはみんないっしょということ。それを教えてもらった。また、一人ずつ死んでいくという点では、逃れられない死という意味でも「着信アリ」に近いなとふと思った。標的になる子がわかるたびに正直つらかったですが...


正直、凄まじい。精神的に弱っているときは感情移入しすぎるのでやめたほうがいいかも(とかいう自分は読んでますが)。自分の命と、100億人の命、どっちを取るかと言われれば、おそらく後者を選ぶひとが多いと思う。でも、懸ける命の規模がもっと少なければ?100人、10人の命と引き替えに死ねる?それも誰にも認知されず。「誰かのために死ねるなら」というのは「それが認知されるとして」考えるから、命を捧げてもいいと感じる。だけど、100億人にしろ100人にしろ、その助けたひとたちが助かったことを知らなければ?自分という存在が消えるだけで、助かったことを知らぬまま人々はこれまでとなんら変わりない人生を送り続けることになる。それでも、命を懸けられるだろうか?命を捨ててまで守る価値はあるだろうか?


と、この漫画を読んで考えさせられました。命の意義って深い。なんのために自分は生きていて、なぜ死ななければならないのか。どうしたら誰かのために死ぬということを肯定できるのか。どんな人間でも命の重みは変わらない、みんな何百億人分の一というコマに過ぎない、しかし、自己思考においての優位性というものが存在するからこそ、家族のためになら死のうと思えても、関わったことすらないような人間、優位性の低い人間なら100億人でも死ねない、という意義を創るんだなと思ったりした。自分でも何言ってるかわからないし、こういうことは結論を出せない域の話だと思うから、とりあえず読んでみて下さいとしかいえないわけです。